高校の国語に選択科目として「論理国語」と「文学国語」が登場し、また公立の小学校・中学校でもプログラミング教育が必修化されるなど、教育現場全体で「論理的思考力の強化」が大きな流れとなっています。
では、そもそも「論理」とは何でしょうか? そして、論理が重視される時代に「文学」や「感性(Art)」はどんな役割を果たすのでしょうか。
01. 論理とは?——「方法と手順」を組み立て、点を線にする力
論理とは、一言でいえば「ものを考える道筋」のことです。

何かを作るとき、「どうやって作るか」という方法をまず考えますよね。その方法や手順を考えるときに、この論理が必要なんです。
方法が間違っていては作ることはできません。また、方法が合っていても、手順が間違っているとうまくいきません。どちらともが正しいうえで初めて成功するのです。
この力は、ものづくりだけではなく、あらゆることに必要です。たとえば問題を解決しようとするとき。点がまばらに存在していて、それをまとめなければいけない場面です。評論家の内田樹氏はこう言っています。
名探偵の推理こそ「論理的にものを考える」プロセスの模範だと思いますけれど、ここには「正解」を知っていて「作問」している人はいません。登場人物が現場に残された断片から推理して、その帰結として正解を「発見」するんです。名探偵の行う推理というのは、ひとつひとつの間に関連性が見出しがたい断片的事実を並べて、それらの断片のすべてを説明できる一つの仮説を構築することです。その仮説がどれほど非常識であっても、信じがたい話であっても、「すべてを説明できる仮説はこれしかない」と確信すると名探偵は「これが真実だ」と断言する。それは「論理」というよりむしろ「論理の飛躍」なんです。
内田樹 「論理は跳躍する」 内田樹の研究室(http://blog.tatsuru.com/2019/05/18_0922.html)
推理をするうえで断片的事実を「点」とするなら、仮説を立てるときにその点同士に関連性を見出し、つなぎ合わせる。この「点を線にする力」こそ、論理なんです。それが跳躍すると真実になり、事件解決・問題解決へと至ります。
内田樹氏はまた、『跳躍する勇気こそが必要だ』と言っています。最終的には勇気も大事かもしれませんが、そもそも跳躍する前の力――基礎となる論理力を鍛えないと、解決の糸口すら見えてきません。まずは点を線にできるよう、思考のトレーニングをしようじゃないですか。そして「線にできるはずだ、きっと解決できる」と信じ抜く根気と情熱も持ち合わせたいところですね。
02. 論理のススメ、文学のススメ——理性と感性の両輪
さて、話を高校の国語に戻すと、「論理国語」と同じく選択科目になるのが「文学国語」です。言ってみれば、評論文(説明文)か、小説(詩も含む)か、というところです。
- POINT 01 // 評論文(論理国語):社会で意思表明し、論文やレポートを書く力
- 社会で自分の考えを意思表明する際に必要とされるのは、評論文を読んだり書いたりする力=「論理力」のほうで、それがあると大学や実社会で論文やレポートを書くときにはとても役に立ちます。
- POINT 02 // 小説・詩(文学国語):心情や行動を理解し、人間関係を築く力
- では、小説は必要でないのかというと、決してそうは思いません。登場人物の心情の読み取りや行動の背景を理解する力は、他者との人間関係を構築する上でとても重要だからです。
- POINT 03 // 数学と小説に見る「論理(理性)」と「感性」の特性
- 文学は論理的なものでもあり、感性で書くものでもあります。そのため「数学が苦手だけれども、現代文の小説や詩の理解はとてもよくできる」といった現象が起こります。反対に、「数学が得意でも、小説や詩などがほとんど読めない」ということもあります。これは論理(理性)と感性が別々な表れでしょう。人間関係の問題を解決するときには、この感性がより重要になってくると思います。
03. 感性はArt(芸術)と五感で磨こう——想像から創造へ
論理力は思考の練習で鍛えられるので、当塾でもしっかりサポートできると思いますが、感性はウチでは紹介する程度で精一杯な部分もありますね。
例えば、絵を描く、本を読む、映画を見る、音楽を聴く、粘土をする、花や飲食物の香りを嗅ぐ、いろんなものを食べる、など。教室では「〇〇よかったよ〜」「〇〇楽しいよ〜」と、生徒たちと対話の中で話をするくらいです。
もちろん、読解問題を解説するときに心情の背景を説明することもします。ただ、実際に五感を使っていろんなことを感じることで、感性や想像力はずっと豊かになります。
この感性は生き物ならではの本能的なものもあれば、心の栄養だったり文化だったりもします。感性を磨くと人間として奥深くなり、良い人間関係が築けます。つまり、心と心をつなぐきっかけになるんですね。このこともまた、人間社会で生きていく中ではとても大切なことです。

先日、塾長も「STEAM教育におけるArt(芸術)と情操教育の重要性」について記事にしていました。
AIやロボットが社会の中で居場所を増やしていく時代だからこそ、人間は創造的であることが重要になります。論理的思考力はもちろん重要ですが、やはり人間としての感性も磨きつつ、「想像から創造へつなげる力」も大切だと思います。そしてそれこそが、最後に「論理を跳躍させる力」になるのではないでしょうか。
LOGIC & SENSIBILITY // ENGINEERING & ROBOTICS LAB
点を線につなぐ「論理」と、心を動かし論理を跳躍させる「感性」の両輪を育てる。
当ラボでは、評論文や数理・プログラミングを通じて「方法と手順を正しく組み立てる論理力」を鍛えると同時に、優れた書籍や映画、実体験を通じて他者の心情や世界の奥深さに触れる「感性(Art)」も大切にしています。当ラボの教育理念や、生徒たちにも紹介している推薦図書・映画データベースは以下よりご覧ください。
