なぜ数学の「文章題・関数」で手が止まるのか?|『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』が示すパターン暗記の罠と、GeoGebra・zSpaceによる視覚化アプローチ

まずは副塾長(taka)が書いた記事、「新井紀子『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』に学ぶ読解力の危機」から読んでいただきたい。

中高生に数学を教え始めて10数年が経ってしまったが、現場でずっと思い続けていることは、「テキストが読めない子どもが多い」ということである。
本来、その学年の子どもたちに合わせて作られたものなので十分読める内容(当塾では難しい内容のテキストではなく、どちらかというと分かりやすいテキストを採用している)だと思うのだが、それでも自分で説明が読めない、かなりの助けがなくては理解できないといった場面を毎年繰り返している。

01. 「文章から式が作れない」のではなく、「文章が理解できていない」

どの学年も最初は「計算」ばかりなので、文章を読むという作業はあまりないのだが、文字式・方程式あたりから「文章問題」というものが登場してくる。
この文章問題に突入すると、とたんに分からなくなる人が激増する。読むことすら嫌がる子、適当に読んで勘でやる子、読んでも的外れな子――とにかく文章から式が作れない。いや、「文章から式が作れない」というよりも、「文章そのものが理解できていない」というのが正しいのだと思う。この流れはグラフ(関数)の範囲でもみられ、最終的には受験数学になるとほとんど分からないという結果になってしまう。

数学
▲ 図形や文章題の構造を「丸暗記」するか、「なぜそうなるか」の道筋を理解するか

そして、よく子どもたちから質問されることに、「Aという言葉が出てきたらBになるの?」「Cならば必ずDなの?」といったパターン化がある。

BUG_01 // キーワード反応型の「パターン暗記」という罠
文章全体の意味を読まずにキーワードだけでなんとか問題を解こう、もしくはパターン化したものを全て暗記して問題に挑もうとする姿勢だ。参考書や塾などでも目先の点を取るためにやっていそうな方法だが、「それってAIでもできることなんじゃないのか?」という方法を子どもたちがやっているのである。
BUG_02 // 暗記でテストの点が取れてしまうことの危うさ
しかも、暗記のよくできる子どもならば、パターン化されたものを覚えるだけで定期テストでは好成績が出せたりするので余計に恐ろしい。こういった勉強方法でもこれから先困ることはない時代ならそれで大丈夫なのだろうが、『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』を読むと、やはりちゃんと文章を読解して問題を解かせないといけないと強く思う。

02. 正多面体の「表の暗記」と、すべてのベースになる国語(読解力)

タイムリーな話だと、先日、数学で「正多面体」を教えていたのだが、当然「面の数・辺の数・頂点の数」は問題として出てくる。
正多面体は5つしか種類がないので、その表を丸暗記してしまえばそれで問題は解けてしまう。しかし、私はいつも「考え方(構造)」を説明するようにしている。「なぜ辺の数はこうなるのか?」「なぜ頂点の数はこうなるのか?」ということをだ(本当ならば「なぜ正多面体は5つしかないのか?」までできると良いのだが……笑)。
でも、言葉の道筋を追う習慣がないと、ほとんどの場合は理解してもらえず、結局「表を覚える」か「図を見て数える」になってしまいやすい。

私は中学生以上しか教えていないので、小学生の現場がどうなのかは副塾長の領域になるが、ずっと思っていて、この本を読んでさらにその思いが増したことは、「やっぱり読解力を何とかしないといけない」ということだ。しかもそれは中学生からではなく、もっと小さい頃(幼児・小学生)からやらなくてはいけないと思っている。
しかし、入塾される方はあまり「国語」を選択されない。おそらく小手先のテクニック(パターン化)によって短期間で点数が取りにくい科目だからなのだろう。でも、この国語があらゆる教科のベースになっていることは間違いない(当ラボの言語・読解指導のアプローチはこちら)。国語(読解)を伸ばすことで、AIに負けない力を習得しようと思いませんか。

03. 動的数学ソフト「GeoGebra」と「zSpace」による視覚化アプローチ

そして、文章を正確に読み解く訓練と並行して、数学の「関数」や「空間図形」のイメージを直感的に掴むために当塾で活用しているのが、動的な数学ソフトウェア「GeoGebra(ジオジェブラ)」である。
ちょうど時期的に各学年の計算が終わり、関数に入ってきているのもあり、最近授業で使う機会が多くなってきている。

GeoGebra
▲ 動的数学ソフトウェア「GeoGebra」による関数の視覚化
VISUALIZATION 01 // 幾何・代数・解析を結びつける「GeoGebra」
GeoGebraとは、幾何・代数・統計・解析を結びつけた動的な数学ソフトウェアであり、式の数値を変更することでグラフや図形の動的な変化を目で見ることができる。主に関数の授業でよく使っているが、綺麗に描けるし変化もわかりやすいので、これからも多くのシーンで活用していきたい。
VISUALIZATION 02 // 「zSpace」による空間図形・ベクトルの3D立体視
さらに、立体視ディスプレイ「zSpace」で空間図形やベクトルを3D立体視する機能も連携している。紙の上の平面図ではイメージしにくい正多面体の構造や空間座標も、立体として動かすことで本質的な理解へと繋がっていく。

パターン暗記に頼らず、自分の頭で問題文の意味を読み解く「国語力」を幼児・小学生期から鍛えること。そして中高生の抽象的な数理に対しては、なぜそうなるのかという論理の道筋と「GeoGebra」「zSpace」のような視覚化ツールを組み合わせて構造を掴ませること。この両面から、これからも本物の思考力を育てていきたい。

MATHEMATICAL LOGIC & VISUALIZATION // ENGINEERING & ROBOTICS LAB

「Aが出たらB」のパターン暗記を脱却し、文章の読解と数理の視覚化で本質を掴む。

当ラボでは、すべての教科の土台となる「日本語の読解力」を徹底的に鍛えると同時に、GeoGebraやzSpace、SHARP BIG PADを用いた視覚的な構造理解によって、丸暗記に頼らない数理教育を実践しています。当ラボの独自学習管制システム『LAB DECK』と、実験機材・学習環境の詳細については以下よりご覧ください。