大学入学共通テストが問う「本当の英語力と読解力」|消えた文法問題と6ページ増えた英文から読み解くこれからの学習法

大学入試改革に伴い、従来のセンター試験に代わって「大学入学共通テスト」が始まった初年度の週末。教室でも、新しくなった問題用紙を前に、これからの時代が子どもたちに求めている「学力の質」について改めて深く考えさせられました。

思考力・読解力・情報処理能力——。言葉としては以前から耳にしていたこれらの力が、実際の試験問題としてどのような形で表れたのか、とくに変化の大きかった「英語」を中心に振り返ってみたいと思います。

01. 英語の劇的な変化——消えた単独文法問題と「6ページ増」の長文

全体を通してまず指摘されているのは、どの科目においても「問題文の文章量(情報量)が大幅に増えた」という点です。限られた時間の中で、膨大なテキストや図表の中から「いま問われていることに必要な情報・正しい根拠」を素早く見つけ出す力が、文系・理系を問わずあらゆる科目で要求されるようになりました。

その象徴ともいえるのが英語です。事前の試行調査などでも議論されていましたが(英語入試がどう変わるのかについての過去記事はこちら)、ふたを開けてみると非常に明確な変化がありました。

POINT 01 // 発音・アクセント・単独文法問題の廃止と「読解6ページ増」
これまで定番だった「発音・アクセント問題」や「空欄補充の4択文法問題」がすべて姿を消し、全問が読解問題へと切り替わりました。ページ数にして6ページもの増加となり、圧倒的な情報処理スピードが求められます。
POINT 02 // リスニングにおける「1回読み」の本格導入(全6問中4問)
リスニングでは、これまで2回ずつ読まれていた問題が減り、大問6つのうち4つまでが「1回しか放送されない」形式となりました。聞き逃してから2回目で修正することができないため、英語を英語の語順のまま頭から理解していく確かな基礎力が試されます。
POINT 03 // 「文法がいらなくなった」のではなく「文法の自動化」が必須に
独立した文法問題が消えたからといって、文法の勉強が不要になったわけではありません。むしろ6ページ増えた長文を時間内に読み切るには、フィーリング読みを卒業し、主語・動詞や文型のルールを無意識レベルで瞬時に見抜く「基礎の型」がいっそう重要になっています。

02. 「正解が一つとは限らない問い」と、自分の言葉で表現する未来へ

事前の予想では「答えが一つとは限らない問題」の出題も噂されていましたが、初年度の本試験ではそこまでの形式は見られませんでした。ただ、今後さらに多角的な視点から考えさせる問題は増えていくはずです。

たとえば、「私たちの日常生活をより豊かに、快適にするにはどうすればよいか?」といった問いかけに対して、与えられたデータを組み合わせながら自分の頭で発想し、活用していくような問題です(採点の難しさを考えると、まずは国公立大学の二次試験や私立大学の独自試験から広がっていくかもしれません)。

また、社会のデジタル化や少子化が進む中で、ペーパーテストの点数だけでなく、これまで自分が探究してきた記録(ポートフォリオ)やデジタル作品などの提出を通じて、一人ひとりの個性や魅力を多面的に評価する大学もますます増えていくと感じています。

だからこそ、これからの子どもたちには、小手先のテクニックに頼るのではなく、「揺るぎない基礎の型」を丁寧に身につけながら、それを自在に使いこなす思考力・判断力・表現力を育てていきたいですね。英語に関しても、英検などの外部検定試験に積極的に挑戦しながら実践的な力をつけていくことが大きな自信に繋がります。そして何より、すべての土台となる「人としての魅力(人間力)」を、日々の対話の中で一緒に磨いていければと思います。

03. 追記:入試問題に垣間見える「時代の空気」と出題者の遊び心

最後に、少し個人的な感想を。
今回の共通テストの問題を眺めていて、国語で「妖怪」や「羽織」といった題材が登場していたところに、「もしかして、大流行している『鬼滅の刃』を少し意識して選んだのかな?」と思わず微笑ましくなりました。地理Bでもアメリカの大統領選挙というタイムリーな話題が出題されており、社会科で時事問題が出るのと同じように、国語や他科目でも「いまの高校生が生きている時代の空気」を反映して文章や題材を選んでいるのかもしれません。

そうやって時代とリンクしたテーマが出題されると、受験生も興味を持って取り組めますし、何より入試問題そのものに作問者の「血が通っている」ような温かみを感じて、私はとてもいいなと思います。
……もっとも、本番の試験中に物語へ感情移入しすぎてしまうと、設問の冷静な罠に足元をすくわれてしまいますので、そこだけは客観的な視点を忘れずに取り組まなければいけませんね。

LANGUAGE PROTOCOL & LEARNING SYSTEM // ENGINEERING & ROBOTICS LAB

「フィーリング読み」を卒業し、長い英文も正確に読み解く「言葉の基礎の型」を。

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