先日、新型シフォンを納車しました。
最近の自動車は先進安全機能など、様々な機能がついており当然説明書も昔に比べると分厚くなってきています。
そして、このシフォンの説明書も550ページをこえており、聞きなれない言葉・新しい言葉などが多く含まれており、使用者が全てを読んで理解できるものではなくなってきています。
読解力が落ちてきているということはさておき、この説明書はあくまで使用者側での話です。
では、この説明書を提供者側が全てを読んで理解できるのか?というとどうでしょう、それも難しいのではないのかと思ってしまいます。
今からお話しするのは、シフォンのウェルカムオープン機能が上手く働かないといったトラブルで、その解決のため説明書を理解しその通りに実践したら作動したという内容です。
つまり故障ではなかったということです。
実際、こういった内容の事例は非常に多く、私自身対応することが多いのもあり、年々増えているように思えます。
例えば、アイドリングストップ、ナビゲーション、ドライブレコーダー、安全機能、ドアの便利な開閉、セキュリティなどなど多種多様質問がやってきます。
話を元に戻すと、ウェルカムオープン機能とはこんなものです。
予約が完了したアクセスキーを携帯して、予約した側の解錠範囲(検知範囲 A)に入ると、すべてのドアが解錠します。その後パワースライドドアが開く範囲(検知範囲 B)に入り約 1.5 秒間経過すると予約した側のパワースライドドアが自動的に開作動します。
スバル シフォン 取扱説明書 pp.141
まず疑ったのが、左側の予約をしたのに右側の作動範囲で行っていること、あとはリクエストスイッチの意味が分からないということです。
原因は何だったのか?というと、おそらく両方だったと思います。
そもそも納車した車には左側しかウェルカムオープン機能がついておらず、操作するのは運転者なのでどうしても右側でテストしてしまいます。
あとはリクエストスイッチが何か分からないけど、とりあえずいつも施錠するボタン(リモコンスイッチ)でやっていたということです。
実際にはリクエストスイッチはドアノブにある解錠・施錠するボタンのことだったのですが、リモコンスイッチで行っていたので予約解除していたことになっていたのです。
どうです?全てこのような内容ではないですが、550ページですよ?そして、何度も言いますがこれは使用者側の取扱説明書です。
実際私は自動車の整備士です。いわゆるホワイトカラーとブルーカラーとで分類するとブルーカラーになると思います。
今やこのブルーカラーの仕事がこういった内容の連続なのです。
しかも、この例は使用者が読んで理解すべき内容を手助けしただけの話で、実際はこういった動作・内容を理解し故障した場合に何が不具合の原因なのか診断しなければいけません。
当然、コンピュータ診断ですし、その診断結果を元に原因を探っていくのが現在の主流です。(EVになるともっとシンプルになるかもしれませんが、エンジン車がまだ主流なので部品点数が多い多い・・・笑)
自動車も全てデジタル化しているので、昔のように部品を曲げたり削ったりして調整する修理の仕方じゃなくなってきています。
当然、そういった機械式のものを調整したりすることもありますが、それだけでビジネスになるかというとなかなか難しいと思います。
つまり、AIによってホワイトカラーは分断されると言われていますが、それだけじゃない。
ブルーカラーだって随分前からじわじわとその変化が押し寄せてきており、まだまだこれから変わるだろうという予兆が見られます。(EV化、自動運転、特定整備車検、コネクテッドサービスなど)
その都度、説明書・整備書は新しくなり、そして複雑になっていく、むしろ不慣れなものに変わっていくと言った方がよいのかもしれません。
そして、その変化についていかなければいけません。
私たちは、手元にある説明書がしっかり理解できるか確認した方が良いのかもしれません。
その読解力が自分の仕事に影響を与えてる可能性もあると思うのです。