先日の「玄関の『緑色のクモ』から広がる知的好奇心(第1弾)」のお話に続き、今回はその第2弾です。
私たちのすぐ身近にいるクモですが、調べていくと、改めて自分がいかに「知っているつもり」で何も知らなかったかを思い知らされます。今回は、古い学習図鑑を紐解きながら、実際に家の中で見つけた小さなクモをスコープで観察してみた記録をお届けします。
01. 「クモは昆虫ではない」を構造から整理する
小学校の理科などでも学ぶ基本として、「クモは昆虫ではない」という分類があります。脚の本数(昆虫は6本、クモは8本)から見分けがつきやすいですが、手元の学習図鑑(『旺文社学習図鑑 昆虫』1983年 /『小学館の学習百科図鑑 昆虫の図鑑』1971年)を開いて確認してみると、他にもこれだけ明確な「体のつくり(構造)の違い」があることがわかります。
- INSECTA // 昆虫の構造(カブトムシ・バッタなど)
- ・体の区分:「頭・胸・腹」の3つの部分に分かれている。
・器官の特徴:胸に6本の脚があり、成虫には通常「羽」と「1対の触角」がある。目は小さな目が集まった「複眼」と「単眼」を持つ。 - ARACHNIDA // クモ類の構造(オニグモ・ハエトリグモなど)
- ・体の区分:頭と胸がひとつになった「頭胸部」と「腹部」の2つの部分に分かれている。
・器官の特徴:頭胸部に8本の脚があり、触角も羽も持たない。そして複眼はなく、すべて「単眼」で構成されている。
確かにクモには触角がなさそうですし、羽も見たことがありません。でも、図鑑を見ていて何より驚かされたのは、クモの「目」のつくりでした。
02. クモの目は「8個」ある?!種類によって異なる単眼の並び方
「本当にそんなにたくさん目があるの?」と図鑑のイオウイロハシリグモなどの頭部拡大図を見てみると、確かに小さな目(単眼)が8個も並んでいます。
さらに他の図鑑で「クモの単眼の並び方」も見比べてみると、なんと8個以外のクモ(4個や6個のもの)もいるということがわかりました。しかも、横に2列に並んでいたり、正面の中央に大きな目が集まっていたりと、種類によって目の付き方も実にさまざまです。
「いや〜、クモの世界がこんなに奥深いものだったなんて知らなかった……」と感心していた、まさにその時でした。偶然にも、目の前の床を小さなクモがトコトコと歩いているのを発見したのです!しかもとても小さいので、これなら怖くありません。「よし、これは良い機会だ!実際に観察してみよう!」と挑戦してみることにしました。
03. ハエトリグモをキャッチ!スコープ越しに見た「4つの目」
観察しやすいように、まずは白い紙を床に敷いてクモを誘導します。そして観察用のスコープを手にして、つぶさないように気をつけながら……そっとキャッチ!


ドキドキしながらスコープを覗き込んでみると、写真では少しわかりにくいのですが、正面に目が横に1列(4つ)に並んでいるではありませんか!(※さらに頭の上の方にもう4つあり、合計8個になります)しかも、ちょいちょいと小さくジャンプをしながら歩くのです。「おお!これはまさに、前回調べたあのハエトリグモ(Jumping Spider)に違いない!」と一人で興奮してしまいました。
ちょうどそこへ、小学生の娘が学校から帰ってきました。「クモを捕まえたけど、見てみる?」と聞くと、「うん!」とスコープを覗き込みます。
「わぁ〜、ホントだ!クモが見える〜!」と、うれしそうにまじまじと見つめる娘。私は昔、昆虫の図鑑すら開きたがらないほどの虫嫌いだったのですが、娘は結構平気な様子です(下の子も保育園でバッタやカナヘビを平気で触って遊んでいるようですし、頼もしい限りです)。
「手、離してもいい?」と持ち手を交代して、疲れてきてもまだ熱心に観察を続ける娘。なかなかいい集中力だな……と思っていたのも束の間、「あ!ママ!つぶしちゃった!」という声。見ると、小さなクモがスコープの縁に挟まってしまうという思わぬハプニングが。「だってちっちゃくて、捕まえにくかったんだもん……」と悔しそうな娘。小さな命を観察するときの力加減の難しさも含めて、大切な学びになりました。「貴重な時間をくれてありがとう、ごめんね」と、クモさんに心から感謝しました。
04. 「図鑑で調べる」と「自分の目で確かめる」が繋がるとき
思わぬ結末にはなりましたが、スコープ越しに「目が4つ並んでいた姿」を実際に自分の目で確認できたことには、本当に深く感動しました(もっと拡大して綺麗に撮れるカメラを買おうかな、と思ってしまうほどです)。
- STEP 01 // 図鑑や本で「構造の知識」を得る
- まずは図鑑を開き、「クモは昆虫とは体のつくりが違う」「単眼が8個あり、種類によって並び方が違う」という知識の枠組みを知る。
- STEP 02 // 実物を観察して「ほんとうだ!」を体感する
- 図鑑で知識を得ていたからこそ、目の前を歩く小さなクモに気づき、「スコープで見てみよう!」という行動が生まれる。そして「本に書いてあった通りだ!」と自分の目で確かめた瞬間、知識は一生忘れない生きた経験へと変わります。
ただ図鑑の文字を暗記するだけでなく、「本当にそうなっているのかな?」と自分の目で覗き込んで確かめてみること。自分の知らないミクロの世界に入り込めた、とても楽しく豊かなひと時でした。
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