先日、公園で四つ葉のクローバーを探していたとき、目の前に透き通るような綺麗な羽を持った、かわいらしい生き物が留まっているのを見つけました。
「なんていう名前の虫なんだろう?」と思い、家に帰ってから図鑑を開いて調べてみることに。「〇〇カゲロウ」というところで目が留まったものの、カゲロウだけでもたくさんの種類があり、肝心のしっぽのあたりの特徴がわからず、どうしても特定(同定)できませんでした。インターネットで画像検索もしてみましたが、なかなか「コレ!」というものが見つかりません。
そこで、普段から調べ物が好きな塾長(夫)に聞いてみたところ、「Biome(バイオーム)」という生き物AI図鑑アプリを紹介してくれました。
01. 樹木から小さな虫まで:AIとビッグデータによる「逆引き図鑑」
塾長自身も、以前よく晴れた心地よい日に出かけた際、近くにあった樹木を調べるためにこの「Biome」を試していたそうです。「シイの木の仲間だとは分かっているのに、どうしても正確な名前が出てこない……」というときに、ゲーム感覚で植物や昆虫を調べられるこのアプリはとても魅力的だったとのこと。




木の名前(マテバシイやキンモクセイ)はバッチリ判明した一方で、右下の小さな虫の写真だけは、AIでもうまくヒットせず「蚊の種類」のように出てきてしまったそうです(AIにもまだ迷うことがあると思うと、なんだか微笑ましいですね)。
このアプリの素晴らしいところは、「写真」と「位置情報」を送ると、それと思われる候補の生き物を確率の高い順から挙げてくれる点です。さっそく、私が公園で見つけたあの虫と、鳴き声を頼りに足元で見つけたとても小さなカエルの写真をBiomeで調べてみました!


02. カゲロウ?カトンボ?「地方名(方言)」が生む言葉の不思議
アプリのおかげで、あの羽の綺麗な生き物は「ガガンボ」、小さなカエルは「ヌマガエル」だと分かりました。でも、この「ガガンボ」をWikipediaで調べてみて、さらに驚きの事実が判明したのです。
日本各地で様々な地方名があり、成虫に対してはカトンボ、アシナガトンボ、カゲロウ、ショウジハリなど、幼虫に対してはイネノネキリムシなどと呼ばれることもある。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用
えぇっ!!!
カトンボと、アシナガトンボと、カゲロウと、ガガンボが一緒?!と思わず声が出てしまいました。生物学上の分類では「トンボ」も「カゲロウ」も「ガガンボ(ハエ目)」も別々の生き物なのですが、日本各地の呼び名(地方名)では同じ生き物を指す言葉として混ざって使われていたのですね。(ちなみに、蚊に似た姿をしていますが血は吸わないとあったので安心しました)
それにしても、名前がまったく分からない状態から「ガガンボ」だとたどり着けるだけでも、本当にすごいことだと思います。
- POINT 01 // これまでの図鑑(名前や分類からの「順引き」)
- 「カゲロウの仲間かな?」と自分の予想で図鑑を引くため、最初の手がかりがズレていると、なかなか本当の正体にたどり着くことができません。
- POINT 02 // AIとビッグデータの図鑑(画像と位置からの「逆引き」)
- 名前がまったく分からなくても、「写真の特徴」と「どこにいるか(位置情報)」からAIが候補を逆引きしてくれます。データが蓄積されている現代ならではの、新しい学びの入り口です。
03. 「現実世界(リアル)はゲームよりも面白い」
このアプリを開発している「株式会社バイオーム」の公式サイトには、こんな言葉が掲げられていました。
生物多様性の保全を社会の当然に
株式会社バイオーム 公式サイトより引用
地球上のあらゆる生物・環境情報をビッグデータ化し、環境保全を経済活動に内在化させる攻めの環境保護プレーヤー
現実世界(リアル)はゲームよりも面白い
出会った“いきもの”を集めて世界を冒険するコレクションアプリ
「リアルはゲームよりも面白い!!」
まさに「事実は小説より奇なり」に通じる、最高の標語ですね!
さらに調べてみると、このバイオームという会社は、京都大学の技術イノベーション事業化コース最優秀賞の受賞を経て設立された「京都大学発のスタートアップ企業」なのだそうです。世界中の人がアプリを通じて楽しみながら集めた生き物のデータが、そのまま地球の環境や生態系を守るための「生物情報プラットフォーム(ビッグデータ)」になるという仕組みを知り、その壮大な設計思想に深く感動しました。
04. 「使う側」としてはもちろん、「作る側」でもありたい
ARやVR、ビッグデータ、そしてAI……。昔は想像できなかった、あるいは想像したとしても夢物語でしかなかった技術が、こうして現実に誰でも使える時代になってきました。自然観察の楽しみとしてだけではなく、医療や介護、災害対策や日々の暮らしなど、あらゆる場面で当たり前のように私たちの生活を支えてくれています。
こうした素晴らしい技術を「使う側」として楽しむのはもちろんですが、京都大学の研究者や開発者の方々の姿を見ていると、「いつか自分たちも(そしてここで学ぶ子供たちも)、こんなふうに新しい仕組みを『作る側』でありたい」と思うのは、私の欲張りでしょうか。足元の小さな生き物から広がるリアルな世界の面白さと、それを支えるテクノロジーの可能性を、これからも大切に見つめていきたいと思います。
PHILOSOPHY & UNIVERSITY GUIDE // ENGINEERING & ROBOTICS LAB
「使う側」から、未来の仕組みを「創り出す側(設計者)」へ
当ラボの根幹にある「消費者から設計者(アーキテクト)への成長」という指導理念や、京都大学・名古屋大学をはじめとする難関大学の先端研究領域のガイドにつきましては、以下のページよりご覧いただけます。
